長年お悩みの方はご存知かと思いますが、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を、十分量かつ快適に排出できない状態」のことです。

この「十分量かつ快適に排出できない状態」には大きく分けて2つのタイプがあり、一つは「排便の回数や量が少ないため、便が腸の中に滞ってしまう」タイプ、もう一つは「量や回数は問題ないが便が快適に排出できず、残便感がある」タイプです。

よくある誤解は「排便の回数が多ければ、便秘ではない」というもので「毎日出ていても便が硬いと力んでもすっきり出せない」というように、出すときに不快感があったり、出した後に残便感があったりする場合も実は便秘と言えます。

男性の場合は「恥ずかしい」という理由で便秘を隠す人もいますが、便秘を長期間放置すると溜まった便によって腸に穴が空いてしまったり、更には大腸がんなど重篤な腸疾患の原因になってしまうこともあるため「たかが便秘」とあなどることなく、しっかりとした対処が大切です。

なかなか改善しにくいとされる便秘ですが、このサイトでは当院が便秘についてどのように考え、更にどのように改善していくのかを解説していきます。

病院での一般的な対処法としては、食事療法や運動療法、生活習慣の指導があります。

それでも改善がみられない場合に下剤や浣腸などの薬物療法が行われますが、このような対処法でも改善されない人が多くいます。

では、それはなぜなのでしょうか？

当院では便秘症の本当の原因は、腸が本来の機能が低下している状態にあると考えています。

排便するメカニズムにおいて「腸と脳」は切っても切り離せない関係にありますが、自然排便を起こさせる脳の回路がうまく働かないことで、腸も本来の機能が低下します。

腸に便がたまると、腸の内圧が上昇し、その情報が脳に連絡され、人は便意を感じます。平行して脳は自律神経に命令を出して、腸を活発に動くことで肛門まで便が運ばれ、肛門周囲の筋肉を緩め腹圧をさげます。そこで、意識的にいきむことで体外に便が排出されるのです。

つまり、このような神経回路の伝達が的確におこなわれることが重要になります。

腸の情報が脳に上がり、脳から腸に命令がしっかりと伝わることが必要なのです。

しかし便秘を解消するために頻回に薬で刺激して排便をおこさせることで自然排便の「回路」が壊れてしまい自力での排便が難しくなってしまうのです。

薬物療法や食事療法、運動療法を行っても改善しない便秘症は、このような自然排便を起こさせる脳の「回路」がうまく働かなくなってしまった為と考えられます。また、動きが悪くなる部分の腹部は硬く緊張し、更に腸の動きを妨げてしまっているのです。